Dreams
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32 震災の後の詩  犠牲になった人たちへ 唯一の願いを断たれてしまって わずかな希望も消え去って 良い願いさえ流れ去って みんな理想がちりじりになって ずっと罠に落ちた鳥のようになったことだろう だけど残された人々は わずかなあかりをたよりに わずかな人生を頑張ろうとして いずこにか愛が備わるように 歩き出そうとしている それだからこそ私達は励まされる 罪のない子どもも わずかな罪だけしか知らない大人も みんな理不尽な津波によって流されてしまったけれど 未来はなぜかまた開けてきた 人々は未来をまた目指し歩み始めたけれど 私達は決して忘れない 静かに犠牲になったまま 沈黙の中にある人たちのことを 瑠璃色と灰色に変化を繰り返す海の波は 静かに岸を洗い続けるが その波の中に沈黙の声が眠っていることを

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