理事/支援者として 浅見好香
初めてコミュニケーション支援の様子を見た時は、正直、本人の言葉だとは思えませんでした。でも活動に参加するにつれ、「これは本当みたいだ」と感じる瞬間がありました。大きな声を出していた人が言葉を聞き取り始めると静かになったり、聞き取っている途中で怒ったような声を出したと思ったら少し言葉が違っていたり。心に刺さったのは、自分のことを「ぬいぐるみ」と表現する人がいたことです。本人じゃなくてこの言葉が出てくるだろうかと私は思いました。
よくわからないことはあるけど、自分が言葉を聞き取れるようになったらわかるかもとコミュニケーション支援の練習を始めました。後から入ってきた人がどんどんうまくなる中で、自分は3歩進んで2歩下がるような感じです。それでも通じ合えた瞬間のうれしさや、メンバーが語る言葉の深さに引き込まれ、あっという間に5年が経ちました。私を「こんちゃん」と呼んでくれるようになった仲間と一緒に、活動をさらに広げていきたいと思います。
「そんなことがあるのだろうか」というのは自然な反応だと思います。ただ、生まれて十何年、長い人は数十年を経て、やっと伝えられた言葉があったとしたら。私はそれを、聞いていきたいと思います。