イルカに会って聞いたこと

 伊豆の水族館で、イルカに会った時の事です。そこにはたくさんイルカがいました。イルカは、人間と遊んだり、ショーをするために飼われていたのです。そのイルカたちと一緒に遊ぶために、きおは行ってきました。

 イルカのいるビーチにいくと、イルカの考えがきおに伝わってきたのです。きおは最初、びっくりしてしまいました。イルカの考えがこんなにはっきりと聞こえるとは思っていませんでした。イルカの感情はそれはそれは強くて、きおは最初気分が悪くなって、おえっと吐いてしまったくらいです。 イルカの出している強い強い感情にきおは慣れていなくて、慣れるまで時間が必要だと思いました。それでもきおはイルカと一緒にお話がしたかったので、ビーチに行って水に入りました。お水はとても冷たかったです。

 イルカのうちの何頭かは、きおたちの側にやってきました。中でも特に「サーフ」というイルカはなかなか賢い良いイルカで、お客さん達に身体を触らせてあげていました。きおのお母さんもヒレに触って握手したそうです。サーフはじっと目を閉じて耐えているようでした。誰だって知らない人に身体をぺたぺた触られて、良い気持がするわけがありません。きおは止めて欲しい、という気持でしたが、サーフはじっと耐えているようでした。

偉いイルカです。それもこれも、群れの為にやってあげているのです。サーフと言うイルカは他のイルカたちが嫌がる事を、自分が犠牲になってしている良いイルカです。オキゴンドウという、クジラに似たイルカは、偵察にやってきます。ここに来た人間が良い人間か悪い人間か、オキゴンドウの「ジャンボ」が判別して、サーフがみんなの相手をする役目になっているようでした。

 きおは、イルカの気持を聞きました。イルカたちは、みんなで外に行きたがっていました。ここから見える、外の広い広い海に帰りたい、と言っていました。帰りたいといって、泣くのです。それで、みんなで脱出計画を立てているそうです。この水族館で生まれたイルカもいるそうです。子供達のためにも、外の広い広い海に帰りたいのだと言っていました。

 きおはイルカの話を聞いて、可哀想になって、泣きそうでした。誰だって家族から引き離されて、こんな狭い水族館に一生閉じ込められると思ったら、嫌に決まっています。

 伊豆の海はとても綺麗でした。山の緑が映えてエメラルド・グリーンに光って、水は透明で本当に綺麗でした。イルカというのは、やっぱりこういう広い綺麗な海で悠々と泳ぐのが合っていると思います。

 イルカは、『きおちゃんにお願いがあるよ。どうにかして、ここの水族館から出してもらえるように、水族館の人間にお願いしてもらえませんか』、ときおに一生懸命頼んで来ました。きおは、『わかったよ、なんとかしてみるよ』と言って帰ってきました。

 その後、イルカのショーを見ました。お昼ご飯を貰うために、イルカはショーをしないといけないのです。きおは可哀想で、可哀想で、泣きそうでした。イルカたちは、人間を喜ばす為にショーをして、やっとご飯がもらえるのです。お腹がぺこぺこで芸をするイルカの悲しさというのは、例えようもありません。

 家に戻ってお母さんにその話をしたら、お母さんは驚いていましたが、イルカを海に返す運動をしている人のことをちょっと知っていたので、今いろいろ調べています。

 今、水族館にいるイルカを放したところで、また別のイルカが連れてこられるだけだね、とお母さんが言うので、きおもその通りと思いました。水族館の人達がイルカを飼う事を止めるように、気持を変えてもらわないとだめかもしれない、ときおも思います。

 人間達が、自由に生きたいように、動物だって自由に生きたいのです。動物だって自由に生きる権利があります。人間だけが偉いと思って、他の動物達を自由にして良い理由はありません。それは他の人間を自由に扱ったりしてはいけないのと同じ事と、気が付いてもらいたい、ときおは思います。

 伊豆の漁師さんには、昔はイルカを捕って食べていたけれど、今はそんなことはもう止めようと、一人で頑張っている人がいると聞きました。他の人たちもそういう気持になってくれると、きお嬉しいです。

 動物に会いたくなったら、自分から出かけていきましょう。そうして、動物の気持を汲んであげて、脅かしたり、追いかけ回したり、虐めたり、触ったり、餌をあげたりしないで、仲良くつきあえば、きっと動物達も帰ってきてくれます。

 今、都会では、たくさんの鳥たちが帰って来ています。それは、人間の側に来て暮らすのも悪くない、と思ってくれた鳥たちだと、きおは思います。そうして少しずつ、動物達が人間の側に来てくれるようになったということは、人間が少しずつ、環境を綺麗にしようと思ったり、人間だけが良い思いをしてはいけないな、ということに気が付いてくれた証拠だと、きおは思います。イルカたちにも、そういう優しさをかけてあげたいです。

 以前きおは、鴨川シーワールドで、調教されているシャチのテレビをみました。シャチは、お母さんの側に行きたいのに、芸をしなさいと、インストラクターのお姉さんに言われて、泣いて泣いて大変でした。きおは本当に可哀想に思いました。きおがあのインストラクターだったら、きっとすぐ海に返してしまうでしょう(そしたらすぐクビになるに決まってますが)。

 動物達は、自然の中で生きるのが一番です。人間だって同じです。お互い楽しく生きられるように、動物園と水族館がなくなる日を、きおは祈っています。おしまい。

堀田希央
2003.7.25

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